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正直、ちょっと自分に呆れた。
でも兄貴が「新しい事を学ぶのはいいことだ」みたいな発言してたな確か。
「…わかりました。見学、と言わず天文学の講義取らせて下さい」
「天文学について何も教えてないけど、大丈夫?私としては凄く嬉しいんだけど」
「大丈夫です。是非、佐伯教授のもとで勉強させてください。」
「......上手く行き過ぎるな。もしかして、何か企んでるだろう?」
いやいや、信じろよ。
「まさか。携帯拾って頂いた事にはとても感謝していますし、もともと取ろうとしていた講義が少なかったので一つ増えても問題ないです。」
「そうか...じゃあ、決まりで。見学の後、きっと居酒屋かどこかで先輩の学生達が天文学について詳しく教えてくれると思うから、良かったらそれにも参加してね」
男の俺でもドキッとするような笑みを見せられて正直動揺した。
ネクタイも締めて、ボタンも開けてないのに...何故こんなにセクシーなんだ。
それから長い間話をして、帰った時間は18時30分。
お茶とケーキをご馳走になった挙句、家まで送って頂いた。
お礼を言って頭を下げると「またね、大和君」と名前まで呼んでくれるしまつ。
あんな綺麗な男性と知り合えた事から足取りは軽い。
靴を脱いで階段をあがり、部屋のドアを開けるとベッドの上には天使なんじゃないかと思うくらい美しい兄が眠っていた。
嬉しいけど、なんでここに寝てんの。
兄が眠るベッドに腰をかけると、彼がゆっくり目を開ける。
「…おかえり…大和」
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