5人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
コツ、コツ、コツ。
風が窓を叩く。
高い天窓から、蒼い月が私を見下ろしている。
灯り取りの天窓なのだろう、そこだけやたら明るく見えた。
もうどれくらいの時間をここで過ごしたのだろう?
判らない。
そもそもなぜ私がここに居るのかすら判らないのだから。
私の名前は渡辺エリカ。
ちょっと田舎で、両親と3人姉妹の末っ子として生まれた私は、甘やかされて育った。
そんな平凡な人生を送っていた筈なんだけど。
相変わらず天窓には、風が当たっていた。
コツコツと。
蒼い月が私を見下ろしていた。
月だけがその理由を知っている、と言わんばかりに。
最初のコメントを投稿しよう!