過去の傷

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今日から高校2年! クリーニングした制服を着て外に出た 「行ってきます」 返事は返ってこない 父の転勤で引っ越すことになったが、ちさとは友達と離れるのがいやといって小さな一軒家に一人残った。 親戚がくれた小さな家 細い路地に囲まれていて夜は危ないが、ここに残れるだけで十分だった 「クラスどーなってんだろ」 学校まで徒歩で20分 その間ずっとクラス替えのことで頭がいっぱいだ 「変態さえいなきゃいいかなー…」 そう考えていた時 〔きゃあー!〕 〔やだぁ!〕 小さい子の泣き叫ぶ声 驚いて声のした公園に目をやると、その光景に体は鞄をほうりなげ、走り出した 〔はなしてぇ!〕 〔みきちゃん! 〔はやくこい!〕 小柄なおっさんが小学生をさらおうとしていたのだ 「おじさん?小さい子になにやってるんですか?」 やさしく声をかけた まったく、きもちわりぃおっさんだ… 〔あん?〕 「いやがってますよ?」 〔おねぇちゃん助けて!ずっとついてきてたの!〕 小学生の子は泣きながら訴えてきた なるほど、変態やろーだな 「ストーカーってことか……その子をはなせ」 〔君があいてしてくれるのならねー!〕 ガキみたいな声をあげながらおっさんは叫んだ ゴキッ ……鈍い音が公園に響く ドサッとおっさんの体は地面に倒れる 「失せろ」 おっさんに向けて拳をめりこませ撃沈させた くそ、かなり時間くったな! 「やべ、走んないと」 あわてて走って学校に向かった 『へぇ、やるじゃん』 まさか、この騒動を見ていたやつにの視線になんて気づくほど余裕はなかった
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