嘲笑

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 玩具。  俺は姉の玩具だった。  壊れるまで、泣き疲れて眠りに堕ちるまで、俺は姉に玩具にされた。  姉が高校生の時、俺は小学生だった。やっているコトは理解出来なかったが気持ち悪かったのは覚えている。姉の手が俺の体を撫でる。その度にふわふわした浮遊感ともぞもぞした変な感覚を感じ、お互いの息が荒くなる。気付くと俺はいつも寝ていた。起きると体中がべとべとして気持ち悪かった。姉は笑っているだけで何も言わない。ただ「お父さんとお母さんには内緒だからね」と言われた。だから俺は何も言わなかった。父さんと母さんの前では笑って過ごした。  なるべく姉と顔を合わせたくなかった。だから公園で独り、ブランコに揺れていた。そんな日が数日続いた冬のある日、二人組みの男の子がきた。  「なぁ、なぁ。一人でつまんなくない? おれたちとあそばない?」  「ばかじゅん。ふつう、名前いうよ」  「ばかっていうなよ。ばかたかひろ。おのじゅんだ。名前は?」  「あ…かしの、ひろ」  「ひろか。よろしくな」  「あ…うん…」  「はじめまして。おれは、うきたかひろっていいます。いっしょにあそぼ?」  それが、潤と宇木との出逢いだった。
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