嘲笑

3/8
前へ
/42ページ
次へ
 二人は幼馴染という事もあり仲が良かった。俺は最初、気まずかった。だけどそれは次第にどこかに消え三人で遊ぶ事が多くなった。遊んでいる間は全てを忘れられた。潤が馬鹿な事をやる度に宇木に冷たい視線を向けられる。俺はその度に苦笑した。たまに、大笑いした。  「やっと笑ったな、比呂」  ある日、潤にそう言われ「え?」と、俺は首を傾げた。いつも笑っていた。いまさら改めてなんだろうと宇木を見ると、宇木は言った。  「ずっとくらい顔してたよ」  「……」  「なんかつらそうだった。もう大丈夫か?」  潤の手が頭を撫でた。  「……うん…」  ぽろぽろと涙が零れ落ちる。  「大丈夫…」  いつの間にか癒されていた。  「おれ…」  いつの頃からか姉が触れなくなった。  「もう…」  俺を見ても何もしなくなった。  「大丈夫」  姉の玩具から〝かいほう〟された。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加