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姉は大学に入学した。そして海外留学に行った。俺は中学生になった。潤と宇木は隣街の中学校に行き、遊ばない日々が続いた。あの時二人に出逢わなければ、俺の心はずっと凍える冬の寒さに凍り付いていた。ぽかぽかとした春を二人は運んできてくれた。潤の言葉に救われた。宇木の言葉に励まされた。二人を想うと胸がぽかぽかする。どうやら、俺の初恋相手は潤らしい。一生叶わない〝恋〟だからそういう事にした。宇木は潤を取り合う者同士みたいな感覚だった。きっと宇木もそう感じていたと思う。宇木も潤に〝恋〟をしていた。
俺は友達を作った。母さん譲りの女顔でたくさんの人に可愛がられた。
そして中学生の男子が興味を持つ事は高が知れている。そこで俺は姉がやっていたコトの意味がようやく解った。解ったと同時に吐いた。思い出した感覚に体が拒絶反応を起こした。しばらく食事が喉を通らなかったが、残せば母さんに余計な心配をかける。二人が寝静まった頃、トイレに籠る生活が続いた。
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