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「これ。受け取ってくださる?」
差し出されたのは学業の神様で有名な神社の袋。中には『合格』と刺繍されたお守りが入っていた。
「受験、頑張ってね。小野くん、宇木くん」
「ありがとうございます」
「はい。頑張ります」
素直に頷いているとおばさんは誰かに呼ばれて慌しく戻って行った。しかし数歩歩いた所で止まり、振り向く。
「よかったら、今度ウチにいらっしゃい」
笑顔のおばさんを見つめ、潤と俺は顔を見合わせた。おばさんが「ん?」と不思議な表情を浮かべている。おもむろに潤がおばさんを見た。
「行きたいんですけど、……比呂のウチ、どこにあるんですか?」
おばさんはその問いかけにきょとんとしたあと、涙を拭いながら苦笑した。
それにつられて俺達も、思わず苦笑を浮かべた。
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