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「奥村さんに対する想いは純粋に好きだと思ったからでしょ? だけど、柏野に対する想いは同情だったり淋しさからくる想いだと思うよ」
「淋しさ…?」
潤が訊き返す。俺は紅茶の入ったカップを持ち上げた。この紅茶の茶葉も潤が考案したものだ。甘いが喉を通る時にすっきりと爽快感がある。この紅茶を飲んでいるせいか市販されているものが飲めなくなってきた。
「潤はそういう子、放っておけない優しい奴だからね。きっと柏野のそういう所に惹かれたんだと思う。……男とか女とか、関係なくね」
「関係…あるだろ」
何も答えず黙ったままでいると潤は胡坐をかいた。そして頬杖をつくと真っ直ぐに俺を見つめる。
「お前とやった事、後悔はしてないけど、なんかやっぱり違う」
「それはそうでしょ。同性同士は行為をしない。繁殖機能がない無駄な事だからね」
「じゃあなんで俺を抱いたの?」
「チャンスだと思ったから」
真っ直ぐに潤の目を見ながら俺は言った。嘘が通じない空気がちくちくと肌を刺す。
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