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「奥村さんが亡くなって潤の心にぽっかり大きな穴があいた。言動に隙が出来た。俺はその隙間に入り込んだ。俺がずっとお前の事好きなの、知ってるよな」
「うん」
「だから抱いたの。それで潤が元気になってくれたらいいなって思って」
「本当は?」
「壊したかった。俺の手でお前を壊したかった。……ガキだったんだ。あの頃は。俺はお前と仲良くする奥村さんに嫉妬してた。亡くなった時、正直嬉しかった。お前が俺のものになったって嬉しかった」
「孝宏…」
「今はそんな事、もちろん思ってないし、奥村さんに対して酷い事を思っていたんだって反省している」
「本当に?」
「あぁ」
頷くと、潤は俯いた。
「俺は…どうなりたかったんだろ…」
ぽつりと吐き出した言葉に、俺は答えた。
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