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病院に着くと、病室の前におじさんとおばさんが待っていた。
「はい」
おばさんに手渡された小さな箱。それを不思議に思いながらも受け取る。細長いその箱にはそれそれ潤と俺のイニシャルが震えた文字で書かれていた。
「あの子からのちょっと早いクリスマスプレゼント。受け取ってくれるかしら」
「プレゼント…?」
箱から顔をあげるとおばさんは小さく笑った。
「先生に外出許可をもらったの。その時に買ったみたいで」
「外出? 比呂が外出したんですか?」
「えぇ。本人の意思を尊重して」
「っ…」
ドアに伸びた潤の手を俺は掴んだ。
「外出なんて出来る体じゃないだろ…。あいつっ…」
「小野くん」
おばさんの静かな声に潤が腕をおろした。
「あの子の想いを受け取ってあげて?」
「開けてもいいですか?」
俺の問いにおばさんは頷いた。
「私たちも何を買ったのか知らないんだ。どうやら看護師さんたちと相談していたようでね。店まで乗せていったらもう品物が出来ていたようだから、……何日も前から準備をしていたらしい」
おじさんの苦笑を聞きながら俺達は包装紙を外し蓋をあけた。
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