冷笑

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 「どうしたの?」  「悪いんだけど今日の放課後、急用が入った」  「そうなの? わかった。じゃあ、昨日のやつ一人で挑戦してみるよ」  「あぁ。解らない問題は飛ばして明日やろう。また少し早めに登校してきてくれ」  「うん。じゃあね」  片手をあげて柏野を見送っていると、  「あいつはまた無邪気にへにゃん笑顔をっ」 と、背後から怒気を感じた。ずっと見ていたらしい。  「隣にいた奴もにやにやしてっ。ふにゃん笑顔のまだ相手が孝宏だったからいいものこれが他の連中だったら間違いなく襲わ」  「はいはい。わかったわかった」  手で口を塞いでもまだふがふが言っている。そんなに心配なら柏野は俺のものだって公言すればいいだろと思うが、潤は同性に恋愛感情を持ちたくないらしい。それは判る気がする。以前、俺は潤を恋愛対象としてみていた。傷付き、ぼろぼろだった潤を慰めた。それは、一回では済まなかった。だが何度目かの夜、潤が泣きながら「もう、嫌だ」と呟いた。その日以来、俺達は触れ合わなくなった。それが本当だ。同性を愛してはいけない。求めていいのは異性だ。だが、俺は異性を求める事はこれからもない。俺の体は、心は、潤だけのものだ。潤以外の奴には触れられたくない。
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