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「……孝宏、なんて意味?」
受け取り、刻まれた文字に視線を走らせる。
「〝a faint love〟……〝淡い恋〟」
「……」
「〝experience the sweet & bitter aspects of love〟。これは……〝恋の甘さと苦さを味わう〟だね」
「甘さと…苦さ…」
呟きながら潤はそれを柏野の右手に巻きつけた。そしてその手を握り締める。
「比呂…。起きろ、比呂…。比呂の好きなケーキ作ってきたぞ。起きないと俺と孝宏で食べちゃうぞ」
「……」
「比呂っ…。頼むから起きてくれっ…」
切望が叶ったのか、何回目かの呼びかけに柏野の瞼がうっすらと持ち上がった。
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