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「俺も柏野の事、好きだよ。潤よりもね」
驚いて何も言えない柏野に満面の笑みを浮かべる。ぽかんとする潤を振り向く。はっとした潤がまた騒ぎ出したがそれを無視し持ってきた問題集を適当に広げた。見やすい様にしながら顔を近付ける。
「柏野」
「うん?」
「……あー……じゃなくて。比呂。待ってるから。早く、来い」
改めて名前を呼ぶ恥ずかしさを感じながら柏野を見ると、柏野は小さく笑って頷いた。
「すぐに追いつくよ、えと…た、孝宏」
「あぁ」
ぽんぽんと頭を撫でていると、潤のなぜか焦った声が聞こえた。
「こらっ! 孝宏っ! 俺の比呂だぞっ! そんな近付くなっ」
「俺の、だよ。潤」
「お前はぁ~っ」
騒いでいると苦笑しながら柏野は瞼をおろしていた。
そして、穏やかな表情を浮かべたまま永遠の眠りについた。
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