忍び笑い

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 潤との出会いは、親に訊いたら赤ちゃんの頃からだったらしい。親同士が大学時代からの親友同士とか。家も五分内の距離にある。  潤が生まれ、その一ヵ月後に俺が生まれた。  そしてそのまま月日は流れ、幼稚園、小学校、中学校、高校ときた。  お互いの目標が違うため学部は別々になるがどうやら大学も一緒の様だ。なんだろう。潤とはこのままずっと一緒な気がする。一緒だけど、傍にいるけど、お互い異国の地にいる様な遠い距離感を感じる。一歩を踏み出してしまったからだとお互いぼんやりとした部分ではっきりと感じ取っている。だけどまぁ、これはこれでいいと思う。理由はどうであれ、傍にいられればそれでいい。  そんな事をふと考えながら母さんに《潤の所で夕飯食べていきます》とメールをすると《解りました。潤ちゃんによろしくね》と数秒で返信がきた。そんな訳で学校も終わり、柏野に手を振り、俺達は潤のウチに向かった。
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