甘党少女

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  自分は一体何をやっているのだろうと思わず自問自答をしてしまう。ぐるぐるぐるぐる考えを巡らせるものの、まったく答えは見えてこない。 それでもひたすらに頭を捻り、思考の海へと潜っていく。 「……ねぇ」 物思いに耽っていたら、耳元で囁かれた。柔らかな吐息が耳にかかって、うひゃあと情けない声をあげてしまった。 「……ふっ」 声の主は、いかにも小馬鹿にしたように息を吐いた。その息が再び耳に当たり、今度は叫びこそしなかったが背筋がぞくりとした。 「なんです?」 体の内側から込み上げてくる羞恥心が声に表れないよう、努めて平常通りの声音で聞き返す。 「手、止まってる」 なるほど確かに、思考に没頭していて作業が止まっていた。 この指摘には素直に謝るしかない。 「……すいません」 「……待ちきれない。急いで」 「急いでほしいなら、とりあえずリビングに行っててくれません?」 苦笑いをしながらの提案は、 「……やだ」 すげなく却下された。 「けっこう恥ずかしいんですけど」 言いながら振り返る。 そこには、先月から交際をスタートさせた愛しい女性が佇んでいる。 「……私は楽しい」 何故そのセリフとともに、えっへんとばかりに主張の激しい胸を張ったのかは分からない。 が、そんな彼女を見て僕は嘆息する。 「そんなにジロジロ見られてると、緊張するんですよ」 「……なんで?」 理由が分からないらしく、首をかしげる彼女。 自身の一挙手一投足を穴が空くほど見つめられていれば、緊張は必然だと思うのだが。  
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