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ま、七海だから気付かなくても無理はないか……
思わずほっと胸を撫で下ろす。
事実を隠しているのは少し罪悪感があるけれど、やっぱり嫌われないに越した事は無い。
「そうだ、こんな所で何してんだ?」
俺は七海の腕の中にちょこんと収まっている猫に視線を移す。
「あのね、実はこの子ちょっと怪我してたの」
もう大分治ってきたけど、と付け足しながら七海は猫の前足を見せる。
そこには近くで見てやっと確認できる程の小さな傷跡があった。
「たまたま見つけて放って置けなかったから、治るまで世話しようと思ったんだ。此処なら人目にもあまり着かないし」
そう言って猫の頭を優しい手つきで撫でる。
気持ち良かったのか、猫はにゃあ、と小さく鳴いた。
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