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地面に足が着くと、猫は七海にまっしぐら。
真下までやって来るとにゃあにゃあと鳴き出した。
「この子のお母さんかな?」
七海が足下の猫と腕の中の猫を見比べる。
暫くするとどうやら親子と確信したらしく、ゆっくりと子猫を地面に降ろす。
親子の猫は互いに寄り添い、再開を喜んでいる様だった。
「良かったな、親が見つかって」
左之さんが優しい眼差しを猫達に向けながら七海に話し掛ける。
「はい。……でも少し寂しいです」
七海は嬉しさと悲しさがない交ぜになった様な、複雑な笑みを浮かべた。
本当に大好きだったんだなぁ……
猫達は七海を一瞥してにゃあ、と鳴くと近くの茂みに入って行ってしまった。
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