触れれる世界

文才少女

『……さっきのコのものか。』

月が欠けた世界…。
あまり聞き覚えのない本だな。

パラパラと本をめくっているとひらりと地面に図書カードが落ちてしまった。

『桜香女子大学…あのエスカレーター式のとこか。』

図書カードってことは借り物なんだろうし…なかったら困るだろうな。

『…はぁ～。』

仕方ない。
次の土曜日にでも届けに行くか。

少しめんどくささも感じながら本をカバンに入れて家の前にそびえ立つ門を開き中へと入る。

思えば今日は色んなコたちと出会ったなぁ。

最初に出会ったのは少し内気そうな川上双葉。
街で会った目が不自由なコ倉林翼。
今日最後に出会ったあのコは読書が好きなコなんだろう。

図書カードに綴っていたあのコの名前…。
ちょっと鈍臭い文才少女とも知り合ったコの名前は……

『橋本飛鳥…。』

この三人と出会った今日が運命の歯車を廻すことなどウチには知る由もなかった。

続く