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那美子の作った街は、ぐちゃぐちゃだった。
鋏で首を切られた人形。
口にコンパスの針を突き刺された人形。
トンカチで無理矢理顔を潰された人形。
力いっぱいに体をバラバラにされた人形。
目をカッターでえぐられ、頭を潰された人形。
白い店の前で、とにかく滅茶苦茶に潰された人形。
そして、彼女の街からは、会話が消えた。
暇潰しに飽きた彼女は、外を眺めた。
ー楽しそうな外の世界。
一度は出てみたい。
彼女はいつか出れるであろう外の世界に思いをはせながら、ゆっくりと夢の世界へ入っていった。
もちろん彼女がやっていることは、幼い子供がするような人形遊び。
彼女が外の世界で起きていることを、知る訳もなかった。
ーendー
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