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なんだか…… 「……お父さんみたい」 「そうだな。あんたの父ちゃんの想いが移ったのかも」 「え?」 「お前の父ちゃんからもらった手紙にも書いてあった」 「……何を?」 聞いてみたものの、ドキドキする。 想像がつかなくて……。 「”翼を助けてくれて、ありがとう” って。」 ドンッ。 と、心臓が動いた。 ゆっくりとエレベーターの扉が閉まっていく。 「あ…」 呆けていたあたしは、その光景をスローモーションで見ていた。 ガシッと音を立て、扉が止まり、また静かに開きだす。 目を上げると、彼が扉の端に手をかけて、あたしを見下ろす。 「お前、手がかかるな」 「ごめんなさい。あ…りがと」 あたしは開けてもらったエレベーターから出て、隣の彼を見上げる。 彼は、扉から手を離し、優しく微笑んで。 「お前の母さんに、会えてよかったよ」
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