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連日、役員フロアでは会議が開かれ続けたまま、2週間が経った。
「成瀬さん、今日はもう上がりなさい」
連夜、遅くまで会議があるので、社長が私を気遣って早く帰らせてくれる。
「でも…」
「社内会議なんだから、気にする必要はない。今は成瀬さんしか秘書がいないからね。休まれては大変だ。
ああ、じゃあ常務にこの書類を持って行ってもらおうかな。それで今日はおしまいだ。
また明日よろしく」
「はい…」
社長のご厚意に甘えて、書類片手に失礼する。
私の仕事は社長の事務サポート。そう言い聞かせはするものの、会社の危機に何もできない自分に無力感が募る。
溜息を押し殺して、常務の部屋をノックする。
「成瀬です。社長から書類をお預かりして参りました」
「ああ、君も毎日遅くまでご苦労だね」
「いえ…」
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