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「あーっ、思い出したでしょ。ねっ、どんな人?」
「ど、どんな人って、ふつうの人だよ」
「ふつうじゃ分からないっ!孝太(こおた)も聞きたいよねーっ」
隣合わせで座る沙耶ちゃんと私の正面で、ゆっくりとビールを傾ける孝太は、私たち同期のリーダー格だ。
中でも入社当時、同じ部署に配属されていたこの3人は、なんだかんだと今でもよく集まる。
その孝太に助けを求めるような視線を送ったつもりだったのに、
「そうだな」
なんて、あっさりと返されたから、がっくりと首が沈む。
ねーねーとしつこい沙耶ちゃんに根負けして、私はちょっとだけ口を開く。
「年上の人」
「それだけーっ!?」
「…同じサークルの先輩で、背が高くて、スマートで」
「でっ!?」
「卒業したら外国に行っちゃったから知らない」
「それっきり?」
「そう、それっきり」
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