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「おいおい、そんないい酒、開けていいのかよ!?」
慌てる俺に構わず俊はたんたんと準備をしていく。
「いい酒って……今日はお祝いだろ?今日開けなくていつ開ける」
「祝ってもらうほどのことじゃねえよ、ただの通過点だ」
強がりでもなく本心から俺はそう言うが、俊の手は止まることはない。
「宗也、いいか。通過点なら通過点でいい。ただ、通過点だって何だって、ちゃんとしたチェックポイントだ。ちゃんと立ち止まって評価しろ」
「……んだよ、それ」
「お前よりちょっと先に経営者になった先輩からのアドバイス?」
最後はへらっと笑って風向きを変えるのは俊の得意とするところ。
言い返す気も失せて、おとなしくグラスを取る。
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