小説「遺書 喪失権」

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 うっすらと幻のように思い出す思い出は父の基地外じみた暴力なのです。  幼かった私が何も状況をわかっていなかったことを思うとそれほどまでに母が守ってくれた証なのか、それとも自分は無数にやられてしまい脳の中の回路が切れてしまっていたのか?   今ではわかりません。  ただそれほどまでに私の人生は不幸というものでした。  私は他人は他人、自分は自分と自然に分けていましたので他の幼児達から見れば何とも忌々しい人間だったでしょう。  またあるときは一人でいると先生が話しかけてうざったかったので数人と話している集団の近くにいてさも話に参加しているようにして座っていました。   当然かの集団の人間はいぶかしんで聞いてきます。  何をしているのか?  私は当然のように答えます。  一人でいると話しかけられるので自分のことは椅子か何かだと思っていてくれ。  彼らはうす気味悪がって私を排斥しました。  よって私は常に嫌われ者の一人でした。 いいえもしかしたら常に一番の嫌われ者だったのかもしれません。  学校では気味悪がられ、無視されていた私ですが、その反面、母親には溺愛されました。
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