sinner.1

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    ……もうやめてしまってもいいはず。 心も状況も、そんなようなものだった。 彼と一緒に暮らすようになったのは三年前のこと。 「一緒に暮らせば、すれ違いだったり、そういう寂しいことは、解消されるんじゃないか?」 彼のそんな言葉は、お互い仕事で会えない日々が続いていたわたしの心にすうっと入りこんできて、気づけば涙を流して頷いていた。 お互いに、恥じるくらいの寂しがりやだったんだろう。 ……―― わたしは、ここ一年の間に煙草を覚えた。……離れる口実を作るためだけに。 嫌い、とか、そんなんじゃなかった。 ただひとりになりたい。そう思ってしまう時間が増えただけで。 結婚をしている友達に訊くと、そんなことは当たり前にあることらしい。互いの時間は必要なんだと。 わたしがベランダに出ると、彼は引き止めもせず、戻る頃には先に眠ってしまっているように最近はなった。 それでいいと、わたしは安堵して、少しだけ、寂しいと思う。    
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