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金もいらなくて、いろんな人とおしゃべりして、学校でみんなとやんちゃやって。 そんな事を夢見ていた。 家の中じゃ、外は見れても私の望むものは見えなかった。 家を飛び出して、この世界に足を踏み入れたとたん、夢は崩れ落ちて。 おまけに家にも帰れなくなった。 後悔しかなかった。 きっといろんな人に迷惑をかけただろう。 お母さんも、きっと天国でうんざりしているはず。 何やってんだろ、私。 『怪我ない?』 あの人も、私の夢を壊すのかな。 やだ。家に帰りたい。 「大丈夫か?」 「ん・・・」 私、寝てたのか。 瞼がまだ重い。 声が聞こえて目を開けると、さっきの人。 「うなされてたけど」 夢を思い出して目に涙が出てきた。 「え!?ちょっと・・・」 「うわぁぁぁん!家に帰りたいよー!」 もうイヤ。 こんな目にあうのは。 「なんで・・・家出なんかしちゃったんだろう・・・。帰りたい。帰りたいよぉ・・・」 ぎゅ 「え・・・」 抱きしめられてる・・・? 「俺が、必ず家に帰してやる。だから泣くな」 「名前。・・・名前は・・・?」 「シュウジ。波川シュウジだ」 シュウジ・・・。 この人、お母さんと同じ匂いがする。 懐かしい匂い。 「ミカレ。私はミカレよ」 名前・・・呼んで。 「ミカレ。大丈夫。俺がついてるから」 『ミカレ。大丈夫。お母さんがついてるからね』 「うん。大丈夫」 なぜ、シュウジがお母さんと同じ香りがしたのかはわからない。 でも安心した。 大丈夫なんだって思えた。
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