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いつもの休み。
質素な夕飯も食べ終わり、マットレスに脚だけ生えたシンプルな寝床の上で、お笑い芸人が司会のとあるバラエティーを見ている時だった。
ピンポーン
突然響いた無機質な音。
……誰だよ、こんな時間に。
なんて、内心突っ込みながらインターホンに出た。
「はい」
『こんな時間にすみません、隣に越してきた鈴木と言います。挨拶をと思いまして』
二回りほど年上の、感じの良い男性だった。
そう言われれば今日は音楽もなかったし、いつもより騒がしかったっけ。
単身赴任らしい。大変だな。
今時珍しく挨拶にきたその人は洗濯用洗剤までくれた。
洗濯機の横にそれを置いた僕は少し……本当に少しだけ、寂しい気持ちになった。
いつ引っ越したんだろう、と。
まぁそれも一瞬。
再びいつものテレビポジションに戻る頃には、そんな気持ちはすっかり消えた。
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