序章

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やのに、武士は守ってくれへんかった。 町は焼け野原になった。 天誅組が反乱を起こしたらしい。 おとっつぁんは必死になって鍛冶場を守った。 でも…、 おとっつぁんは火の中で亡くなってしもた。 いっつも厳しくて、誰よりもしゃんとしてるおっかさんが鍛治場やった場所の前で泣き崩れた。 あんなに毎日カンカン賑やかやった鍛治場の音が聞こえて来やん。 聞こえるのはおっかさんのすすり泣く声ばっかり。 このとき、私は武士なんか信用ならん物なんやって、守りたいもんは自分で守らなあかんのやって、そう思った。
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