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おじぃの鍛治場は伏見にある。
それも、深い深い山の中。
山を登って一刻と半ぐらいでやっと鍛治場に着いた。
中を訪ねると、おじぃはボロボロの山伏装束で瞑想をしていた。
「おきよか。
よう来たなぁ。」
「おじぃ。
今日は頼みがあってここまで来ました。」
「……言うてみぃ。」
「私に、刀工の技を教えてください。」
「……………。」
おじぃは私をじーっと見た。
「………………。」
物を言わさぬ威圧感と沈黙が辛い。
そこに、小さい頃良く遊んでもらっていたころの優しい表情はなかった。
しかし、おきよもじーっとおじぃを見つめ返す。
「無理や。」
「…………。」
「まだ、無理や。」
「何で、ですか。」
「まだ早い。
心っちゅうのは、神が宿るんや。
その神の力を借り受けて、儂らは刀を創製するんや。」
分かるな?、と。
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