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…時が来たら教えたろ。
おきよは考えた。
私には何が足りんのやろうか。
おじぃはそこまでは教えてくれなかった。
家に帰ると、おっかさんが土間で夕餉の支度をしていた。
「おっかさん、ただいま。」
「おかえり。
おじぃは何やて?」
「時が来たら教えたろって。
難し過ぎて何言うとるか分からんかったわ。」
「…さよか。
あの人は厳しい人や。
でも、あんたやったら大丈夫。
おじぃに認めてもらえるように昇進しなさい。」
おっかさんはそう言って椀に入ったに物を運んだ。
おっかさんの後ろ姿を見る。
あれからおっかさんは随分痩せた。
それと、私に隠れて泣くようになった。
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