刀鍛冶のおきよ

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. 夕餉を終えて、おきよは暗くならないうちにと井戸で洗い物を済ませた。 京は物騒だ。 不逞浪士がそこらじゅうをうろついているし、 それを取り締まるといって松平容保様の下、守護職という面目で、よく分からないごろつき供が、浪士組を名乗り刀を振り回している。 もうすぐ奴らが見廻りを始める刻だ。 そうなると、町の民は一斉に家屋に篭り、息を殺して見廻りが終わるのを待つ。 なんせ、最近の浪士組は金の取り立てまでも迫るらしい。 全く、世も末だ。 そして何より、そんな者達が刀を持っているのが許せない。 刀を創製する者として、そんな事に神(こころ)を込めた大事な刀を使われているとなると、いたたまれない。
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