“私”

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■□■□■□ 小鳥遊、彩水 たかなし、あやみ それが、私の名前らしい。 だんだんと意識がハッキリしてきた今 "私"について看護師さんから色々聞いた。 私は 記憶喪失 らしい。 私は父さんと母さんとお兄ちゃんと飼ってた犬と 一昨日から家族旅行に行っていたんだと聞いた。 そして、その旅行の帰り、つまり昨日…トンネル事故にあって… 燃え狂う火の中 開けていた車の窓から放り出された私だけ 一番最初に救助されて… 他は全員 救助が遅れて… 死んでしまったらしい。 詳しいことはよくわからないまま、看護師さんは警察に連絡してきますと姿を消し、 私は病室に一人になってしまった。 「…」 この、記憶がないことや頭がズキズキ痛むのは事故のせいと言うことかな。足も痛い・・・。 私はくしゃりと自分の頭を触った 病室にあるつけっぱなしのテレビに目を向けると トンネル事故のことが報道されている。 今は冬。 外は雪がしんしんと降っていて…。 『中継でお伝えします。小鳥遊時雨さん(41)死亡、小鳥遊颯さん(45)死亡、小鳥遊咲斗さん(20)死亡、小鳥遊彩水さん(15)意識不明、……』 静かな病室にはテレビの音が響いていた。 私の名前は 小鳥遊 彩水 だったよね。 あ じゃあこれ事故のこと報道してるんだ… 『ただいま新しい情報が入りました。意識不明の小鳥遊彩水さんがたった今意識を取り戻した様です』 あ 私のことだ テレビからはアナウンサーの声と共に上空から撮ったと思われるブルーシートだらけの大雪のトンネルの映像が流れる ずきん 心臓が痛んだ。 私は、心のどかかでこれを覚えてたりするのかな? 『さて 何故このような事件が起こってしまったのか。 山田さんどう思います?』 画面がスタジオに戻り、この事故について話すみたいだ。 『今回はこれトンネル会社の不備でしょう? まったく この一人になってしまった15才の女の子はどうなるんだろうね』 一人になってしまった15才の女の子 私のこと…? 一人になってしまった… 一人に… 一人…? 元々どうだったんだろう 親戚 とかいるのかな… それすらも …解らない 前も後ろも………真っ暗で何も見えない… 黙っていると、不安で仕方なくなる 怖くて、怖くて… 吐きそうに気持ち悪い ああ それに頭が 頭が痛い
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