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□■□
(…あ)
いつの間に眠ってしまったんだろう。
何か
(夢を見てたみたいだけど……)
内容が、思い出せない…
でも、幸せな夢だったのは覚えてる…
「…ふぅ」
ため息をついて外を見る
気づくともう夕方で。
病室の窓からやわらかいオレンジの光が入ってきていた
「…」
頭がまだ痛い…
ズキズキ痛む頭を手で押さえようとすると
ぽたりと 生暖かい水が手に落ちた
「…?」
え? なんだろうこれ…
それはどう考えたって目から溢れる大粒の涙で…
あれ…
私……泣いてるの…?
(なんで…)
そう気付いた時
「小鳥遊さん。面会で…す…」
看護師さんが入ってきた
その看護師さんが言葉を途中で失ったのは 彼女が私の涙に気付いたから。
「あ…」
戸惑う看護師さん
やばい、泣き止まなきゃ
心配させちゃうよね
私は慌てて涙を拭う。
すると、その戸惑う看護師さんの脇を通り抜けて
かつりと靴の音を立て
背の高い男の人が病室に足を踏み入れた。
「…?」
「…」
彼は私の顔を確認してまた足を動かし ゆっくりベッドにいる私の横に立った
漆黒の、少し癖っ毛の髪の毛
黒いコート
白いマフラー
「…誰…?」
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