“私”

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「あぁ」 命をってすごいな父さん… そんなこと出来る人だったんだ …すごいなぁ 「…どうして救われたんですか?何かあったんですか?」 事故にでも合ったのかな? 「…」 返事の来ない彼を見て、ただ興味本意で聞いたことに公開した なぜなら、布団を…ううん 下を見つめている彼の姿は とても弱々しくて… 彼の様子から、私に何かを話そうとしてくれているのが解るけど… とても、…苦しそうだ。 「… いつか 聞かせてください」 私のその言葉に彼は驚いたみたいで… 目を見開いて顔を上げ、私を見た 今は覚えてないけど 仮にも私の父さんだ。 どんな成り行きで父さんは彼を助けたんだろう… 知りたいと言う気持ちは抑えられないから 話さなくて大丈夫です とは言えなかった 「…すみません」 だから一言 謝った。 聞かれたくないことを話してもらおうとするなんて… 私はなんてひどい人間なんだろう。 なのに… 彼ははにかんだんだ 照れたように そして こまったように… 私は その笑顔にまた 違和感を覚えた なんの違和感かな…これ…… そう考えていると、彼の優しい手が 私の頬に触れた 「…お前の父さんは、とても優しい人だった」 彼の手が 私の頬から髪に移動する 私の長い髪に、その綺麗な指が通って… 見入ってしまいそうだ… 「いつも、どこか抜けているようで…仕事はきちんとこなす…。バカに見えて、バカじゃない 変わった人だったよ」 優しい その瞳に吸い込まれそうになる 「お前の母さんのもだ。厳しいようで またどこか抜けていて お前をよくからかってたよ。」 私の家族の話をする彼は 少し楽しそうで 悲しさも隠れているけれど 私は微笑んでしまった 「お前のお兄さんは 俺と3つしか変わらないのに仲が良くなると凄く餓鬼っぽいのがわかってな。小学生かと思うほどやんちゃなのに 頭は良くて… 有名な国立大学でロボットにハマってたよ。 初めて作った作品のことは 今でも覚えてる」 くつくつと喉を鳴らして笑う彼の姿を見ていると 私は自然と (思い出したいな) そう思えた
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