プロローグ

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
三月も終わりに近づくころ桜の花びらが少しずつ散っていて世間ではあと一週間もすれば入学式があり、新しい学校での生活が始まる季節だ。 僕はと言えば新しい出会いや別れも多くが集まるこの時期に何の変化もない毎日を送っていた。 毎日仕事、仕事、仕事、たまの休みは家で見ているわけでもないテレビを点けて、夜になると狭い交友関係の友達からヒマそうなヤツを見つけて飲みに行くくらいの代わり映えしない毎日。 居酒屋で隣のテーブルを見るといつも思うのは、楽しそうな飲み会だな、彼女と二人で飲んでいるのかなとか、基本的には妬みだ。 充実した毎日を送っている人々を羨望の眼差しで見ていてふと一人になった時にいつも考えてしまう。 虚しい。 友人と遊んでいる時は楽しいし、仕事は至って順調だ。 趣味らしい趣味といえばなく、東京に来てからはギャンブルをたまにやる位だ。 部屋に帰ると電気も点けず真っ暗な部屋で誰に送る訳でもないけど、ふと携帯電話を取り出しメールを作成した。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!