迷子の僕に。

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「どうして…?」 手を、きつく握り締めてみたけど、なにも変わらなかった。 「どうして、そういうこと言うの――…?」 マユちゃんの目が、大きく開かれる。 …なにを、いったいそんなに驚いているのだろう? 「マユちゃんには、感謝してる。 …でも、でもっ、…そんなこと言わないでよ。 僕にはこうするしかない。 そうでしょ? こうしないと、ミカが消えちゃうっ…」 ――あ、やばい。 そう思った時には手遅れだった。 目の前が真っ暗になる。 …貧血。 いや、ちがうかな。 精神的ショックによる失神。 それとも、寝不足による、かな。 …たしか、そう言われた気がする。 「…ユウくんっ…!?」 マユちゃんの声が、遠くなった。 もう、なにも見えない、聞こえない。 ――あぁ、やっと眠れるんだ。 夢の中になら、きっと君もいるよね――…?
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