迷子の僕に。

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あたしが優くんと出逢ったのは、幼稚園生のとき。 それから小学校、中学、高校と、今まで一緒。 家も近くて…。 あたし達が仲良くなるのも、当然のことだった。   いつ優くんのことを好きになったのかなんて、覚えてない。 気がついたら、好きだった。 ずっと、好きだったけど、 今更そんな目で見てもらえるなんて思えなかったし、 今の関係を壊したくなかったから、 告白することはなかった。 下手に気持ちを伝えて、断られるのが恐かった。 友達のままでも、そばにいられれば良かったのだ。 幸い、優くんから恋の話は聞かなかったし、 優くんが他の誰かと付き合うことはなかったから。 …優くんはモテるから、何度か告白されたという話を聞いたけれど、 優くんは毎回それを断っていたし、 「恋とかに興味ない」って、言っていた。 …だから、だから、あたしは油断していた。   高2の4月。新しいクラスで、あたしに話しかけてきた女の子がいた。 その子の名前は、市原美佳。   美佳は本当にかわいい子で、 そして、とても明るくて、 話していると楽しかった。 美佳とあたしは似ていた。 好きな音楽も、 好きなドラマも、 好きなマンガも、 好きなアイドル、 お笑いの趣味や、 好きなお菓子、ジュース、 服の趣味も同じ。 あたしがお勧めしたものは、ぜんぶ気に入ってくれた。 「まるで姉妹みたい」だれかが、そう言ってたっけ? あたしたちは髪型も、 メイクの仕方も、 持っているバックや小物、 アクセサリーも一緒だった。 それは、もう、異常なほど。 ――そして、好きな人まで同じだったのだ…
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