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突然鼓膜に響きだしたギターの音が、僕の静かな眠りを遮る。
ハードなメロディとは不釣り合いな甘い歌声は、
確か、終わった恋への未練と後悔を歌っていたはず。
いくつになってもこの手の音楽には馴染めないけれど、
君が大好きだった曲だから、僕は今日もこの歌で一日をはじめる。
薄いカーテンを開けると、眩しい日の光が僕の目に刺さった。
朝が苦手になったのは、いつからだっけ?
こうやって僕はまた、みんなより2時間遅れて登校だ。
ひとつ伸びをした頃に、曲が終わって、僕はケータイに手を伸ばす。
ああ、今日もだ。
今日も、君からの連絡はない。
一日に何度君にお願いのメールをしたって、君は一度も返してはくれない。
「もう一度だけでいいから逢って」
僕が何度電話しても、君は一度だって応えてはくれなかった。
送信ボックスに溜まった数え切れないほどのメール。
それと同じだけの僕の想いは、いつだって一方通行なんだ。
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