迷子の僕に。

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「ふたりともいつの間に仲良くなってたの?」   知ってる? 発売日って、もう1週間も前だよ。   いつも、一番最初に感想を言い合う相手は、あたしだったでしょう? だからあたし、腹いせに、感想、ぜんぶ美佳に言っちゃったんだ。 麻友は、少年漫画なんて読まない。 読むのは、いかにも女の子って感じの、少女漫画ばかり。 その少女漫画の趣味はあってたから、 いつも漫画のことを話すときは 美佳に合わせて少女漫画の話しかしてこなかった。 でも、あの日、優くんがこなかったから、 あたしは麻友にその話をして…   少年漫画は無理だと言っていた美佳が、 あの時はやけに真剣にあたしの感想を聞いていた。 あの時は優くんに怒っていて気がつかなかったけれど、 よく考えればおかしい。 それに、美佳はこのマンガを読んだこと無いんだから、 最新刊読んだくらいで、 今までずっとはまって、1話も欠かさず読んできたあたしと、 同じ感想を言えるわけなんてない。   はっとして、あたしは顔を上げる。 「この間ね、これ貸した時に話したんだ。 もう、俺びっくり。 …俺と趣味逢う女なんて、麻友ぐらいだと思ってたからさ」
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