迷子の僕に。

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そう、あたしの趣味はぜんぶ、優くん基準。   優くんが好きだっていうから、 このマンガだって読んだ。 音楽もドラマも、 お笑いもお菓子も、 ジュースだって ぜんぶ優くんの好きなもの。 好きなアイドルだって 優くんにどこか似ている人だし、 服の趣味も優くんがかわいいって言ってたやつばっか。 そのうち本当に好きになったのもあるけど、 優くんの1番の親友であるために あたしが仕組んだことに変わりはない。   そう、あたしと趣味が一緒だということは、 必然的に優くんと趣味が一緒ということになるのだ。   ――まさか。 まさか、と思った。 まさか、と思い、 そして違うことを祈りながら、 それでもあたしは、ミカを監視し続けた。 ふたりが付き合いだしてからもずっと、やめられなくて。   ふたりを見れば見るほど、 つらくて、 苦しくて、 妬ましくて仕方がなかった。   美佳を見れば見るほど、 あたしの中の疑惑は膨らんでいった。 …ふたりとも、 優くんのそばにいるための偽りからはじまったのならば。   どっちが、ほんとうなんだろう? 見た目も、中身もそっくりなあたしと美佳。 もしかしたら、あたしでもよかったんじゃないかな? ――だめ?優くん。 ねぇ、あたしと美佳、 なにが違ったの…?
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