迷子の僕に。

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顔を洗って、歯を磨いて、髪を梳いて。 制服を着たら、準備完了。 窮屈な制服は、ちょっと苦手だ。 きっと大人達は、僕の自由を奪って、動けなくするつもりなんだ。 こんな服を着てちゃ、したいことなんてなにひとつできない。 バックに財布とケータイを突っ込めば、もう出掛ける時間。 カーサンもトーサンもいない。 ふたりとも今頃会社でせかせか働いているんだと思う。 ――そうはいっても、家に居てもいなくてもさして変わらないんだから一緒だよね。 ふたりとも僕を避ける。 僕はみんなと違うから、戸惑うんだ。 それがフツーの反応だよ。 僕のせいだもん。 ふたりを責めるなんてできない。 だけど、僕は僕だ。 変わることなんてできない。 ねぇ、しかたないよね? 君なら、こんな僕のことも理解してくれたかな? …なんて、答えのない質問をしてみる。 君が応えてくれるというゼロに近い確率に賭けながら。 僕は、ひとりごとばっかだ。
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