迷子の僕に。

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朝起きて、歯を磨いて、朝ごはんにはいつもどおりクレープイメージのアイスをひとつ。 大好きなイチゴソースがたっぷりかかったお気に入りの一品だ。 これがないと一日は始まらない! 制服に着替えて髪を捲いてふたつに分ければ、もう出かける時間だ。 鞄にケータイとメイクポーチを押し込んで、玄関へと走った。 靴を履いてから、ジュースとお菓子を忘れていることに気がついた。 慌ててリビングに戻って、いちごミルクとチョコのお菓子を手にとって、今度こそ走り出した。 「いってきまーす!」 明るく言って、外へと飛び出した。 学校までは遠い。 バスに乗る必要がないんだから、距離的にはそれほど遠くないんだろうけど、かえって人より歩くはめになる。 それがすごく面倒くさい。 自転車に乗れたら楽なんだろうけど、あいにく自転車は小3の夏、溝に落ちて以来乗っていない。 あの時は本当に痛かったけど、それ以上に消えてしまいたいくらい恥ずかしかった。 まあ、今となっては笑い話に他ならないんだけど。 じゅーっと音を立てて吸うと、いちごミルクは無くなった。
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