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「おはよー」
そんな中、たった一人、僕に話しかけてくる女の子がいる。
マユちゃんだ。
「もう、また遅刻だよ!」
「ごめん…」
僕が謝ると、マユちゃんは少し慌てたように返してきた。
「そんな深刻に謝ることじゃないんだけど…」
困ったような顔をしたマユちゃんは、
すぐにまた元の笑顔に戻って、手にしていたお菓子を僕に差し出してきた。
「まぁまぁ、食べて食べて。これちょーおいしいから!」
女の子が大好きそうな、かわいいパッケージ。
中身はチョコレートをふんだんに使った甘いあまいお菓子だ。
勧めてくれるのはうれしいけれど、僕にはちょっときつい。
「ごめん、今食欲なくて」
「ユウくんさ、ちゃんと食べなきゃだめだよ。
どうせ朝ごはんも食べてないんでしょ、はい」
「…う、うん。わかった」
ためらいがちに僕はチョコに手をのばして、ぱくりと食べた。
やっぱり起きてはじめて口にするものがチョコっていうのは、ちょっときつい。
僕はマユちゃんをがっかりさせないように気持ち悪さを我慢して、「ありがとう」と笑いかけた。
つられたようにマユちゃんも笑い返す。
なんだか今日のマユちゃんはカーサンみたいだ。
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