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「昨日は、ちゃんと眠れた?」
「え、うん…」
そんな僕の嘘はお見通しのようだ。
マユちゃんは悲しいような、寂しいような顔をした。
なにかを考えるように黙り込んだあと、静かにこう尋ねてきた。
「もしかして、まだしてるの?…メールとか、電話、とか…」
思いがけない質問に、僕はかすかに目を見開く。
「…うん」
「ユウくん、悪いことは言わないから。
もう、忘れた方がいいと思うんだ」
僕はマユちゃんのその言葉が信じられなくて、マユちゃんを見上げた。
「なんで…」
「あたしが言うのもなんだけどさ、
――もう、いないんだよ、ユウくんがいくらまだ好きでいても、もう…」
がたんっ、とうしろの方で大きな音がした。
僕が立ち上がったことで、椅子が倒れたのだ。
びくっと、マユちゃんの体が揺れる。
恐がらせた。
でも、もう抑えられなかった。
僕の口が勝手に開いて、気持ちが言葉となって溢れ出てくる。
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