白い世界…

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―――――――…… ―――――…… ――― 「ん……あれ、ここ…」 今日はいろいろな事がありすぎて疲れて寝たはず… ベッドで眠っていた筈の剛が目を開けるとそこは真っ白な世界だった。全てが全て真っ白で、右も左も、上も下もわからない。そのため、今自分が立っているのか浮いているのかすらもわからない状況だ 「………………夢か」 暫く考えた末、剛が行き着いた答えは“夢”だった 剛は、そのうち戻れるだろ。と楽観的に捉えキョロキョロと辺りを見渡し始めた よくよく見てみるとその白い空間には半透明な球体がたくさんあった。それはまるでシャボン玉の様にふわふわと浮いている 剛は好奇心に負け球体に近付こうとすると、足も動かしていないのに体がスッと前へと動いた 少し驚きながらも、夢だしね。と思い特に気に止めずに球体を除き込んだ 球体の中は何もなく、なんだ…と落胆しながら離れようとすると球体の中がぐにゃりと歪み何かが浮き出てきた 「なんだ、これ……」 暫く眺めていると次第に形がはっきりとしてきた。それをじっくり見るとそれは昔の剛だった 「なんで僕が…」 球体の中の剛は、昔住んでいた家の近くの公園に居り、そこで剛と同じくらいの年の可愛らしい男の子と遊んでいた。その男の子は膝や肘を擦りむき血が出ていた 「誰だ?あれ…」 剛はその男の子が誰だかわからなく首を捻りながら思い出そうとしていると小さい剛が何かを叫んでいた。音が小さく聞き取りづらいが表情を見る限り何かに怒っているらしい 男の子はそんな剛を宥めるが全く聞く耳を持たない剛は走って公園を出ていってしまった 「こんなことあったっけ?」 今の剛では考えられない程活発で正義感の強かった昔の剛 剛は正直、昔の自分の事をあまり覚えていないのだ。そのため、球体の中での出来事が全くわからないでいる
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