3人が本棚に入れています
本棚に追加
思い出せないものは仕方ない、と考えることを止め球体の中に意識を戻した剛。
球体の中は場面が変わっており、何処かの路地に小さい剛と、剛よりも体のでかい男の子が三人居る。どうやら剛はその三人に喧嘩を売っているらしいが体の差が倍以上ある相手に、しかも三人相手になんて勝てる筈なくボロボロになっていた
「……こんなことあったら覚えてると思うんだけど」
呆れたように溜め息をつき、じぃっと見つめる。球体の中の剛はすでにボロボロになっていた。しかし、剛はボロボロになりながらもまだ、三人にしがみついて諦めずにいる
結局、最終的には三人はめんどくさくなったのか、剛を払い除け何かを叫ぶと剛を置いて逃げていった
剛の顔は鼻血で所々赤くなっていたり、片目は腫れ上がってしまい開かなくなっていてとても痛々しい状態だった。多分動かなくても全身に痛みが走っているに違いない
だが、地面に倒れていた剛はゆっくり起き上がりだした。すると少し離れた所から先程の可愛らしい男の子が駆け寄ってきた
可愛らしい男の子は泣きながら剛に頭を下げている。多分謝っているのだろう
覚えてない剛からしたら何の事かわからないが、多分さっきの喧嘩はあの男の子が関係していたんだと言うことだけはわかった
「誰かの為に喧嘩、か…」
男の子に謝られながらどこか誇らしげに笑う小さい剛を見ながら、寂しそうな顔で笑い呟く剛
どうらやそこで終わりらしく球体の中がまた歪み始め少しずつ半透明に戻っていく。そして剛が球体から離れようとしたとき
【ぼく……強くなるから】
頭の中に直接響く声が聞こえてきた
「なんだ、これ……」
【つよしを守れるくらい、強くなるから!!】
「僕……?」
この声は剛の物じゃないためあの男の子の声だろう。と球体に目を戻そうとした時、目の前が揺れ意識が遠退いていった
何なんだよ…一体……
剛は立っていられず倒れる感覚に襲われたが、倒れきる前に意識が完全に途切れてしまった――――――……………
最初のコメントを投稿しよう!