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ちょっと、いやかなりイラッときたが今はそれどころじゃない
「まじかよ、憑かれたのか…」
《?確かに強烈な家族だったしな。疲れるだろうな》
剛は自分の言葉を別の意味に捉え不思議そうな顔をする男から顔を反らし額に手を当て深い溜め息を溢した
《てか、反応薄くね?幽霊怖いんじゃねぇのかよ…つまんねー》
未だに顔だけを剛のお腹辺りから出し口を尖らせながら文句を言う男
男は多分高2、3くらいで、髪は黒に赤のメッシュの短髪。見た目から不良だとわかる男。その男は、お世辞にも可愛いとは言いがたい顔だ
その顔やめろっ!!可愛くない!
剛はその男をキッと睨み付けながら言葉を発しようと口を開こうとしたとき
《当たり前だろ、可愛くてもキモいって》
「っ!?」
本日何度目の驚きだろうか…
霊に憑かれている時に意識があるのは普通では珍しいことだ。だが剛の場合は霊感が強いためかと思っていたのだが、思ったことが伝わるまで深く繋がっているにもかかわらず意識が途切れないとは、今まででは考えられない事だった
「意味わかんないし…」
剛はだんだんと憂鬱な気分になりだし、ベッドの上で膝を抱えるとその間に顔を埋めた
《どうしたよ、剛。腹でも痛いのか?》
暫く動かないでいると、男は不自然に思ったのかお腹から出てき、足をすり抜けて健の前に胡座をかいて座った。正確には少しばかり浮いてふよふよしているが…
「……そうだね、あんたが居るお陰でお腹じゃなくて頭が痛いんだ。今すぐ出てけ」
てか、普通に名前呼んでんじゃねぇよ!
《……お前見た目の割に口わりぃんだな》
無視してんじゃねぇ!!と叫びそうになるのを堪えた僕を褒めて頂きたい
流石に消灯過ぎの病院で叫ぶ程非常識じゃない
《いや、俺もこんなもやしみたいな体から早く出たいんだけどな……》
人の体に入っておきながらもやしは無いんじゃない?
男のもやし発言に怒りパラメーターが急上昇するも、ぐっと堪え相手の言葉を待つが、次の男のさらっと発した言葉に、またもや意識を飛ばしたくなるほど頭が痛くなった
《出られないんだよな、この体から》
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