1259人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと、みぃたん」
「なに…」
振り返ると、西村は携帯を閉じ、ふぅとため息を吐いた。
「もう、いい加減に諦めなよ」
「あきらめる?」
「いい年して、みっともないよ。元カレのセフレなんてさ」
「西村君には関係ないことでしょう」
冷静に言ったつもりだけれど、あたしの声は震えていた。
そんなあたしに、西村君はさらに追い討ちをかける。
「なんか、悲しくなるよ。みぃたん見てると」
それには答えず、「お疲れ様」と、あたしはバックルームを出て行った。
悲しくなるよ。
みぃたん見てると。
帰り道、西村君の言葉は、湿って生暖かい夜風とともに、あたしにまとわりついて、はなれなかった。
最初のコメントを投稿しよう!