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「あんたは何者だ」
「俺は医者だ」
そうとしか答えられなかった
自宅で静かに眠りについた筈の俺はいつの間にか見知らぬ森の中で草木さん達と天を扇いでいた
そしてふと感じた視線の方へ顔を向ければ突きつけられた鉄の塊
いつだったか担当した小児がんの子供が持っていた本に書かれていた所謂忍者と呼ばれるものたちのような格好をした青年が俺を見下ろしていた
「医者…?」
「そう、医者」
いぶかしむようにみてくる青年に繰り返せば青年は眉根を寄せた
「仮にそうだとしてその医者がこのような所で何をしている?」
「知らないな、俺はいつの間にかここにいた」
事実を告げれば青年は一歩下がった
そして何かを思案しはじめた
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