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死病である労咳を治した奇跡の医者がいる
そんな噂が広まったのはそれから間もなくのことだった
青年の名前は春といった
少女の名前は菊といった
二人が絵本に夢中になっている間に処方した薬を一週間の間服用させ続け、咳が少し落ち着いた頃を見計らい手術を施したのだ
もう死を待つだけだと思われていた少女の奇跡的な回復に周囲は度肝を抜かれた
二人は忍と呼ばれるもので菊が労咳にかかり働けなくなった為に一月の休暇をもらい春は菊を連れて里に帰り里の者に菊のことを頼み帰る途中だったらしい
休みが終わっていたため春は菊を俺に預けて仕事へ戻っていった
里の者には断りを入れただかなんだか…
ともあれ手術は成功
十数日の療養の後すっかり回復した菊は少ししかないけれど残りは働いて払うから。と子供らしくない発言を残して去っていった
そして、少ししかと称されてしまった菊の置いていった金は十分すぎるほどに袋を肥らせた
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